埼玉大学 埼玉大学 環境社会基盤国際コース 埼玉大学 工学部 埼玉大学 大学院理工学研究科
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埼玉大学工学部建設工学科
建設構造工学研究室

構造材料研究グループ構造系紹介

「埼玉大学工学部建設系50周年の歩み」(2015.12)より

構造・材料グループ構造系の沿革

図-1  学位記授与式(2015.3)での集合写真
図-1学位記授与式(2015.3)での集合写真

構造系のスタートは、岡本舜三教授(1970-1974,学長1974-1978)、秋山成興助教授(1967-1992)、浜島良吉助手(1967-1981,その後基盤構造工学講座へ)の教官構成で45年前(1970年)に発足した建設構造講座に遡る。その後、奥村敏恵先生(1975-1980)、山口宏樹先生(1981-2014,現学長)、沈赤先生(中国出身:1992-1996)、Rajesh Adhikari先生(ネパール出身:1995-1997)、謝旭先生(中国出身:1996-1999)が教員として在籍した。 現在は、奥井義昭教授(1989着任)、松本泰尚教授(1999着任)、党紀助教(2013着任)の3名で研究・教育活動を行っている。

最近10年の研究概要

構造・材料グループ構造系(旧建設構造工学研究室)は Structural Mechanics and Dynamics Group と称し、橋など社会基盤構造物の計画・設計・性能評価・維持管理に関わる静力学・動力学的諸問題を扱う研究グループである。

図-2  鋼トラス橋のリダンダンシー解析
図-2 鋼トラス橋のリダンダンシー解析
構造物の静力学に関わる研究は奥井が担当し、新たな構造システムの力学挙動の解明、構造材料の微細な内部構造と力学性状や破壊現象との関係などに関する研究がある。具体的な研究テーマとしては、(1) 鋼橋および合成桁の設計法、(2) 橋梁設計における安全係数の合理的決定法、(3) 橋梁維持管理のためのリダンダンシーや脆弱性評価(図-2)などが挙げられる。

図-3 鋼トラス橋に対する実橋振動計測
図-3 鋼トラス橋に対する実橋振動計測
また、奥井の研究は静力学のみに留まらず、橋梁用ゴム支承の耐震設計用レオロジーモデルの開発とゴム支承の温度依存性など、動力学に関わる研究も行ってきている。

構造物の動力学に関する研究は主に山口現学長が担当してきた後、松本が引き継ぎ、地震、風、交通などによる構造物の振動騒音性状・メカニズムの解明と振動制御、常時微動計測に基づく構造物の健全度評価に関する研究を行っている。具体的な研究テーマとしては、(1) 鋼トラス橋に対する実橋振動計測と解析による損傷同定(図-3)、(2) 道路橋モジュラー型ジョイントの騒音に関する発生メカニズムの解明と制御などがある。

図-4 被験者を用いた振動実験
図-4 被験者を用いた振動実験
さらに、振動や騒音が及ぼす人間への影響など構造物の性能や生活環境との関連に関する研究も進めており、松本が担当してきた。より良い地域環境、交通機関や建物・橋など社会基盤施設の整備に関わる、振動・音に起因する種々の問題について、その原因究明と対策に役立てるための研究を行い、特に、振動・音が人に与える影響について、被験者を用いた実験(図-4)とコンピュータによる解析・シミュレーションを併用して検討してきた。

近年の研究動向

奥井の近年の研究テーマには、上述した橋梁用ゴム支承の耐震設計用レオロジーモデルの開発とゴム支承の温度依存性のほか、補剛板の耐荷力の研究、既設橋のLoad rating、などがある。

松本は、振動特性に基づく橋梁の健全度・性能評価、建設工事振動の制御、建築物の振動に関する居住性能評価などの研究を行っている。

2013年に加わった党は、水平2方向地震動を受ける鋼製橋脚の耐震性能、経年劣化されたゴム支承の残存性能などの研究を、これまで在籍していた他大学との共同研究として実施しているほか、スマートディバイスを用いた構造地震応答観測や小型無人機(ドローン)を用いた構造物の点検など独自の研究分野を開拓している。

今後の展開

当研究グループでは、学生教育については3名の教員が共同し、研究については、教員個々の研究活動を中心に、必要に応じて教員間で連携する形で進めてきており、今後も当面は同じ形で展開することを考えている。3名の教員それぞれが今後の研究の展開として考えている内容を、以下に記す。

(奥井)橋梁の合理的設計法と維持管理に関する研究をこれからも続けて行きたいと思っている。

(松本)振動をキーワードとして行ってきた振動特性に基づく橋梁の健全度・性能評価、環境振動の評価と対策などの研究をさらに進展させて、社会に役立つ研究成果を挙げられるよう努力を続けたいと思っている。また、土木分野以外での活動も多いためか、専門分野の枠にとらわれず幅広い視野と知識で物事を捉えることの必要性を感じることが増えているので、自身でも勉強を続けるほか、他の専門分野を持つ方々とも協力していければと考えている。

(党)構造物が想定外地震を受けることはこれからもありうると思われる。壊滅的な状態になりにくい機能分離型構造やそのためのリスクに基づいた性能設計法の提案などを取り込んでいく。また、社会基盤構造物の老朽化と点検技術者の減少と高齢化はこれからもさらに進でいくため、スマートディバイスを用いた構造振動観測やそれに基づいた地震時災害確率リアルタイム判定システム、また小型無人機(ドローン)を用いた構造物点検と災害緊急点検手法などを考える必要がある。21世紀の最新の技術を土木に取り込んだ未来志向の技術を開発することによって、社会貢献を実現していきたいと考えている。